====== 脳全体のモジュール構成情報 ====== [[モジュール構成情報]]は、機械学習モジュールおよびその接続情報です。 [[脳全体のモジュール構成情報]]は、脳全体についてのモジュール構成情報であり、[[全脳アーキテクチャ中心仮説]]を前提とした[[全脳アーキテクチャ・アプローチ]]においては、この情報により[[認知アーキテクチャ]]が構成されることを前提としています。 この情報は、[[全脳アーキテクチャ・アプローチ]]のミッション・ステートメントの前半部分である**「脳全体のアーキテクチャに学び〜」を体現するために**非常に重要です。そして、この情報は[[認知アーキテクチャ]]に制約を与えることから、「[[脳型制約]]」と呼ぶこともあります。 ===== 脳全体のモジュール構成情報の利用にあたって ===== ==== 利用するメリット ==== === 知識不足を補う === 神経科学の知識が(ほぼ)なくても、モジュール毎に割り当てられた機能を接続するインタフェース制約を [[BriCA言語]]で記述して接続すれば脳型 AI 開発に貢献できる。 === AGI への到達可能性 === 脳をガイドとしているので、いずれは人間レベルの [[汎用人工知能|AGI]] に到達できる見込みがある。 === 開発コストの削減 === ある程度開発が進んだ後であれば、部品を置き換えれば[[認知アーキテクチャ]]として即稼働できる。 === ロバスト性 === 困ったときに他のモジュールに助けられて、例外などに強くなる[[ロバスト性]]を持つ。 ==== 利用するデメリット ==== === モジュールを登録するコスト === 開発しているモジュールの機能に応じて脳内の位置づけを決定し、それに応じて BriCA 言語でコネクションを記述するコストが発生する。 ※ WBAI 側にアドバイザーがいれば緩和できる。 === モジュールを登録するコスト === コネクションの決定にあたってインタフェースに制約が生ずる。 脳内の適切なモジュラリティを決定したり、ユーザ側のプログラムを適切に分割したりなどで対応する。 ===== コネクトーム情報の活用とその課題 ===== [[脳全体のモジュール構成情報]]の主要な情報源としては、様々な動物種における脳全体の[[メゾスコピック]]な接続(コネクトーム・データ等)が想定されています。 コネクトーム・データを [[BriCA言語]]上で表現すること自体も一つの技術課題です。 しかし仮に、「脳は機械学習モジュールに分解できる」という仮説を受け入れたとしても課題が存在し、今後の研究や検討が必要です。 以下に代表的な課題を列挙します。 * 課題1:静的なモジュール間結合は密すぎて、認知アーキテクチャを構築するには不十分かもしれない。 * 課題2:メゾスコピックなレベルでの神経集団のクラスタリングが、機械学習モジュールとすべきクラスタと一致する保証がない。 * 課題3:特定の認知タスクを実行しているコンテクストにおいてのモジュール間の関係性を考慮すべきであろう。