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「私とWBAI」玉川大学工学部/脳科学研究所 大森隆司

大森隆司です.本職は,玉川大学工学部で教員をしています.私がWBAIに関わったのは,初期の全脳アーキテクチャ勉強会に参加したことで,ある時期にメンバーへのおさそいをいただきました.

私はニューラルネットというか,脳の知能システムに興味を持った研究者です.私の研究者歴は長く,1980年代の第二次ニューラルネットブームでは下っ端で働き,その後の知能研究の冬の時代には脳の知能システムのモデル化を行ってきました.その結果思ったことは,ニューラルネットだけではだめ,脳だけでもだめ,まずは人の心のシステムを理解しなければと思い,よりマクロな対象としての子どもの発達や意図理解の研究をしてきました.

それが現在,知能再びという人工知能ブームで,これまでの脳の知能システムの研究の蓄積が役に立つ時代になりました.WBAIは汎用人工知能の研究を促進するための活動をしていますが,それには現在のDeepLearningによるブームの先の予測が必要です.
そこに私の経験を活かすことができると思います.その本質の部分は,認知アーキテクチャです.

認知アーキテクチャとは,知能の情報処理システムの全体デザインです.認識,記憶,運動など現在の人工知能技術が実現しようとしている知的機能は,認知アーキテクチャの要素部品です.それらの要素部品をいかに統合していくか,それが汎用人工知能の実現への道であると考えます.

私個人としては,知的情報処理の要素部品を制御する知能の本質は「価値」であると考えています.個体は,自身あるいは自身の仲間に対する価値を最大化するように行動することはよく知られた事実です.それは外見的な行動選択の場面だけでなく,脳内の情報処理の選択や学習の目標設定などにも影響します.これと同じことが汎用人工知能にもいえます.

自分は何のために行動しているか,ということを考える知能は,多様な場面・課題に対する汎用性が大幅に増すでしょう.知能について,そのような基本概念を固めることが,汎用人工知能への近道だと信じています.

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