2016年のご挨拶

皆様,新年あけましておめでとうございます。

NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)の山川です。

昨年は8月に、NPO法人WBAIを設立させていただきました。ここでは脳全体のアーキテクチャに学んだ汎用人工知能の2030年までの実現を目指しますが、こうして年が明けますと残すは14年です。

思い起こしますと、2014年12月に全脳アーキテクチャの研究アプローチに賛同する仲間たちとNPO法人の設立を決めて以来、以下のようにWBA勉強会以外にも様々な活動を進めてまいりました。海外向けを含め一体感のある情報発信ができるようになったことは大きな成果かと思っております。

  • BriCAを軸としたOpenプラットフォーム戦略の確定(6月)
  • NPO法人の設立と海外を含めた情報発信(8月)
  • WBAIハッカソンの実施(9月)
  • 国際会議BICA2015での学術発表,ワークショップ(11月)

一方で2015年は、汎用人工知能や全脳アーキテクチャに関わる状況変化が激しさを増しました。

技術的には、深層学習等の適用領域が拡大しWBAに必要な(言語理解以前の)特化/個別のパーツは人工ニューラルネットワークの形でかなり揃いつつあります。また、神経学分野でもコネクトームから認知アーキテクチャにヒントを与える萌芽的研究が出現してきました。

汎用人工知能の研究開発を世界的に見ると、2015年の間に想定以上の速さで参入者が増えてまいりました。たとえばチェコのGoodAIやスイスのNNAISENSEが出現し、さらにGoogleのDeepMindが160人体制でAGIを目指すことを明言しはじめましたが、彼らのアプローチはWBAとかなり近そうに見えます。

そして、人類とともに歩むAIの開発を目指すというWBAIと同様の方向性を提唱するOpenAIという組織が年末にイーロン・マスク氏が主導する形で出現しています。

ご存知のようにNPO法人WBAIは、ミッションステートメントである「脳全体のアーキテクチャに学び人間のような汎用人工知能を創る(工学)」というWBAアプローチによる研究を推進しています。

そこでこうした状況変化も踏まえ、2016年のNPO法人WBAIとしては、NPOという立ち位置であるがゆえに優秀な有志の皆様にご支援いただけているという強みを活かして「脳全体のアーキテクチャに学ぶアプローチから,OpenなAGI開発を促進する」というOpenWBAのスタンスをより前面に押し出してゆきたいと思います。

このために引き続き、複数の関連分野の知識をもつ人材の育成および多くの研究者/開発者の叡智を結集するための研究環境構築(Openプラットフォーム)に注力していく所存です。

NPO法人WBAIは既に多くの研究者、開発者、若手の会、運営等ボランティアの皆様のご支援を受けて、ようやくここまで作り上げてくることができました。皆様には改めて感謝いたします。

2016年はおそらく国内のメディア上での人工知能ブームは一段落するかとは思います。しかし世界的にみれば、技術的特異点に向けて、技術的にはさらに加速の度合いを強めていくのではと予感しています。

NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブはこうした進展動向を踏まえつつ様々な技術を持ち寄って、その統合と相互作用が起こり、これを通じて汎用人工知能技術が開発が加速される土壌づくりを進めます。

そこでこうした土壌に志を共にする国内の様々な研究機関(大学・国研・企業など:ちなみにドワンゴAIラボもその一つです)の研究者/技術者、さらには海外からも同士を呼び込みたいと考えております。

引き続き多くの皆様方より多彩な形にご支援をいただけますと幸いです。
皆様にとりましても2016年が幸多きものになりますように。

NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)
代表 山川 宏