全脳に匹敵する規模のリアルタイム計算を目指すポスト「京」脳型人工知能プロジェクト

脳型人工知能を開発するためには、その効率的な育成が鍵であり、スーパーコンピュータを用いて学習過程を大規模化し加速することは不可欠の手段となると考えられます。現在、文部科学省の旗振りにより理化学研究所などが我が国のフラグシップ「京」の後継機であるスーパーコンピュータ「ポスト「京」」の開発を進めています。今回、ポスト「京」のアプリケーション領域として「思考を実現する神経回路機構の解明と人工知能への応用」が新設され、当NPO全脳アーキテクチャ・イニシアティブ顧問である銅谷賢治先生を統括代表者とする脳型人工知能プロジェクトが採択されました。

このプロジェクトでは、「脳のビッグデータ解析、全脳シミュレーションと脳型人工知能アーキテクチャ」として、脳構造と活動の大規模ビッグデータ解析、全脳規模での神経科学シミュレーション、および脳型人工知能の開発と応用の3本柱で、神経科学と計算機科学、人工知能を融合して総合的に取り組んでゆく目論見です。また、プロジェクトの一部において、当NPO、理化学研究所、ドワンゴ人工知能研究所、慶應義塾大学が共同開発した脳型計算基盤ソフトウエアBriCAが採用されました。

既存の「京」では、これまでにヒト大脳新皮質の数パーセント程度の規模の神経回路の1秒を約40分かけてシミュレーションすることに理化学研究所などが成功しています。今回のプロジェクトでは、「京」の約100倍高速なポスト「京」に向けて、従来から行われてきたな神経回路シミュレーションをより精密化、大規模化するとともに、ディープラーニングのような人工神経回路(ANN)レベルや、新皮質のマクロコラム構造に対応する階層ベイジアンネットワークのレベルなど、より粗視化したモデルを導入しBriCA上で大規模非同期分散計算することで全脳に匹敵する規模でのリアルタイム計算の実現を目指します。

プロジェクトでは、銅谷統括のもと、当NPO副代表の高橋恒一が参加するほか、代表の山川宏も協力する予定です。このほかにも、脳のビッグデータ解析では京都大学・大羽成征先生、脳シミュレーションでは理化学研究所・五十嵐潤先生、電気通信大学・山﨑匡先生、脳型人工知能では京都大学・石井信先生、東京大学・原田達也先生のほか、脳型人工知能の産業応用においてプリファード・ネットワーク社も参加します。

なお、このプロジェクトでは、随時研究員等を募集する予定です。参加に興味のある方は、各プロジェクトメンバーへ直接お問い合わせ下さい。

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