BICA2017会議におけるWBAセッション

2017年8月3日から8月5日にかけてモスクワで開催されたBICA国際会議に、WBAIは共催団体(co-organizer)として参加しました。

8月4日には全脳アーキテクチャについての共同研究に向けての議論のためのセッションを開催しました。以下に議論の要約を掲載します。

  1. WBAIが取り組んでいる研究の内容とそのアプローチについての議論(Q&A)
    1. BICA2015でのWBAセッション以降のWBAIにおける進展
      部分的ではあるがコネクトームアーキテクチャー、シミュレーション環境、それにサンプルコードの作成が行われた。近い将来、これからはウェブサイトにて閲覧可能になる。
    2. WBAIの動機について。
      WBAIは人間がこなすタスクを全てやってのけることのできるような人間レベルの知能を脳をモデルに工学的に作り出すことを目的としていることを明確にした。WBAIは自然科学の事業というより科学技術の事業であることを示した。
    3. マウスの脳を参考にすることについて
      マウスの脳をモデルにヒトの脳の神経回路配線の知見を深めていき、最終的にアーキテクチャを構築するというアプローチが一番いい手法なのか懐疑的な人もいる中、 WBAIの研究とその手法には可能性があると考える人もいる。それはマウスとヒトの間には多くの類似した生物学的構造が存在するため、マウスの脳を解析し測定することは何か新しい発見につながるという可能性があるからである。
    4. 今年の目標と来年の見込み
      DQNに海馬を追加することに今年は取り組んでいて、来年からはまた新たな挑戦をすることを掲げている旨をWBAIのメンバーが表明した。
  2. コミュニティ構築戦略に関する提案
    1. 人々がインターネット上で見つけた研究論文(へのリンク)を自由にアップロードし共有できる統一されたプラットフォームの作成が提案された。このようなプラットフォームがあればコミュニティ内のすべての人々が有用な情報を閲覧し、利用できるようになる。
    2. MOOC(massive open online course)の使用が提案された。 MOOCはリアルタイムなイベントなので、その場でコミュニケーションを取ることができ、コミュニティーの形成に役立つ。
    3. 研究の成果や進捗状況が一目でわかる図や書類の作成が提案された。(WBAが)誰かの頭の中にあるアイデアではなく、現在進行形のプロジェクトであることを示し、研究に協力・支援する価値があると人々に感じてもらうことがコミュニティ作りには必要である。この際、研究内容や成果の近況報告を常に心がけるべきである。