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2021年の幕開けにあたって

皆様、あけましておめでとうございます。

昨年来、COVID-19の禍に見舞われた最中にございますが、NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)は、昨年(2020年)も、引き続き公益性の高い基本理念を掲げ、賛助会員、WBA勉強会実行委員会(旧:サポーターズ)、開発部、顧問、連携組織など多くの皆様のご支援・ご協力を賜ることで、教育事業と研究開発事業をより活動を行いました。
昨年の主だった活動として、まずは「見えてきた知能研究の本丸」をテーマに第5回WBAシンポジウムを開催し、第1部 では約5年間の間に進化してきたWBAアプローチについて解説しました。そして第2部では、動物のもつ多様な常識的推論の研究開発を促進するAnimal AI Olympicsを企画・開催したMatthew Crosby氏とBenjamin Beyret氏、脳型人工知能の基盤となる深層生成モデルの研究開発において貢献のあった鈴木雅大氏にWBAI奨励賞、当法人における勉強会やシンポジウムの実行委員長を歴任しWBA勉強会実行委員会の創設時から貢献いただいた生島高裕氏に活動功労賞を授与しました。第3部では、知能研究における本丸の姿を明らかにし、それを攻めるために、いかなるアプローチを取るべきか、その中でどのように脳の知見を活用できるかについて議論しました。また「脳と創造性」、「汎用AIと共生インタラクション」、「予測する脳と主体性の現象学」をテーマとしたWBA勉強会を実施しました。また第5回WBAハッカソンに先立ち、広く作業記憶のモデルを募る企画(モデラソン)を実施しました。
WBAIの研究開発支援活動は、脳型AGIの開発に役立つ形で神経科学知見を蓄積した脳参照アーキテクチャ(Brain Reference Architecture: BRA)を作成する活動と、それを活用して脳型ソフトウエアを実装を促進するBRA活用という技術に別れてきました。BRA作成活動としては年初に、大脳基底核の視床リレー細胞への脱抑制により新皮質局所回路が生成する行動出力を選択する機能のモデル化[1]、ナビゲーションに必須の経路統合の機能の嗅内皮質第二層への位置づけ[2]が公開されました。さらに、新皮質領野間で交換される信号の計算論的な意味付け[3]、内観能力におけるPapez回路の役割の検討[4]などを行いました。さらにBRAを活用した脳型AGI開発の検討のために、BRAの情報を登録するデータベースやその内容の可視化などを行いました[5]。
こうした経験を通じて、私達WBAIはBRAを作成するノウハウを蓄積しつつあります。しかし、脳全体のBRAを構築するには、この活動をさらに拡大する必要があると考えます。今年も様々に容易ならざる面もあるとは存じますが、私達は、BRA作成の活動を広げる方向にて研究促進事業と人材育成事業を中心に活動を継続してゆきたいと考えておりますので、多くの皆様から一層のご支援、ご愛顧のほど賜りたくよろしくお願い申し上げます。

2021年元旦

特定非営利活動法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 一同

関連資料:

  • [1] Yamakawa, H. (2020). Attentional Reinforcement Learning in the Brain. New Generation Computing. https://doi.org/10.1007/s00354-019-00081-z
  • [2] Fukawa, A., Aizawa, T., Yamakawa, H., & Yairi, I. E. (2020). Identifying Core Regions for Path Integration on Medial Entorhinal Cortex of Hippocampal Formation. Brain Sciences, 10(1). https://doi.org/10.3390/brainsci10010028
  • [3] Yamakawa, H. (2020). Revealing the computational meaning of neocortical interarea signals. Frontiers in Computational Neuroscience, 14, 74.
  • [4] 山川宏. (2020). 内観における Papez 回路の役割について. 人工知能学会汎用人工知能研究会. http://id.nii.ac.jp/1004/00010725/
  • [5] 佐々木明., 荒川直哉, & 山川宏. (2020). 脳の機能仮説についての構造化データの構築 (No. NC2020-11; Vol. 120, pp. 14–20). 電子情報通信学会. https://www.ieice.org/ken/paper/20201029ECAj/

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