私たち全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)は、NPOという公益的な立場をとっており、技術的には「脳全体のアーキテクチャに学び人間のような汎用人工知能を創る(工学)」という全脳アーキテクチャ・アプローチに基づく研究開発を促進しています。
既に昨年春のシンポジウムにおいて「人類と調和する人工知能のある世界」をビジョンとして掲げました。
人工知能が急速な発展を遂げる中、私達はWBAIの特徴をいかしながら、いかにしてそのビジョンを実現に近づきうるかにつき議論を重ねてまいりました。
今回、そのビジョンを実現するためのミッションとバリュー(価値観)を加えて、WBAIの基本理念を以下のように設定したことを報告させていただきます。
全脳アーキテクチャ・イニシアティブの基本理念
- 私たちのビジョンは、「人類と調和する人工知能のある世界」を実現することです
- 私たちのミッションは、「全脳アーキテクチャのオープンな開発を促進する」ことです
- ヒューマン・フレンドリーな汎用人工知能を全人類の公共財とするために、脳全体に学んだアーキテクチャ上でのオープンな共創を継続的に拡大します
- 私たちは、「 まなぶ、みわたす、つくる」を価値として行動します
- まなぶ: 関連する専門知識を学び、拡める
- みわたす: 広く対話を通じて見識を高める
- つくる: 共に作り上げる
あらたに設定されたミッションと価値観には、汎用人工知能の構築という観点からみて以下の三つのポイントが重要です。
- 人工知能(AI)が高度で複雑になるに従い、それらが人と共存するためには、振る舞いや価値観がが人間と一致し、それによりヒューマン・フレンドリーなAIであることが望ましい。そのためにはAIに脳と同様のアーキテクチャを持たせることは有力なアプローチです。
- 高度なAIから得られる恵みは莫大であるため、それは特定の組織ではなく、全人類の共有財産とされるべきです。私たちは公益的な立場から脳のアーキテクチャ上で高度な人工知能の共同開発を促進することで、その実現をめざします。
- 人間レベルに到達する最初期のAIが、上記の1と2の特徴を備えていることがビジョンの実現には必要です。脳アーキテクチャ上での開発は、以下の二つの技術的特徴からその実現性が高いものです。
- 唯一存在する汎用的な知能である脳のアーキテクチャは、開発者にとって合意しうるプラットフォームであり、その上での技術統合により共同開発が加速できます。(多種多様な汎用人工知能の候補となりうるアーキテクチャに対して分散的に研究投資するより効率的と思われます。)
- 人類の理解からは容易に突破できない技術的課題が生じた場合に、脳からヒントを得られる可能性が高くなります。
本理念にご賛同頂ける多くの皆様の、当法人の活動へのご参加やご支援をお待ちしております。
NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 一同