AI が空前のブームだ。
日経新聞では毎日のように事例がとりあげられている。いくつかの業界で典型的な事例が出つつある。本屋ではビジネスコンサルタントによる AI 本が山積みにされている。書籍をトリガーに問合せを集めるマーケティングであろう。裏を返せば、それだけ AI のコンサルティングを依頼したい企業が多々いる証左である。
一方で AI を提供する会社は多々あるものの、多くの会社で人が不足している。彼らは少ないリソースで業務をまわしているのだが、顧客の要求・要件が曖昧模糊としていて時間のムダと感じている。彼らは静かに心の中で悲鳴をあげている。しかしながら、人を増やすと現場は一時的に負荷が増える。それゆえにマネジメントは人を増やしたくとも人を増やすことに慎重になる。いつの時代、いつの業種でも、優秀な人材というものは不足するものである。
そんな事情を知ってか、知らずか、若いエンジニアに出会うと「AIをやりたいです」という方々が少なくない。若干のリスクテイカーたる私は「さっさとやればいいじゃないですか」という言葉をグッと飲み込んで、お節介にもキャリア相談をはじめることがしばしばである。
そんな方々には全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(以下、WBAI)をお勧めしている。NPOで本業から少しずらして自らの可能性を実験するのはよい選択肢だからである。
私も2016年にWBAIハッカソンに参加した。参加当初は深層強化学習をよくわかっていなかった。ハッカソンの参加チームで進捗が芳しくなかったため、火消しをおこなった。サンプルコードの解析、参加チームの方向とスコープの修正を提案、なんとかデモを実行できるところまで貢献した。力のあるメンバーがいたことも幸運だった。
今年はハッカソンのサンプルコードの開発プロジェクトでプロジェクト管理をした。初めて一緒に仕事をするメンバーとおこなうプロジェクト管理は難しいものである。1週間でプロジェクト計画をたて、6週間でサンプルコードを公開した。進捗がおくれてヒヤヒヤしながら、スケジュールを組み替え、辻褄をあわせた。コードの公開後、ハッカソン当日まで参加者の技術サポートをしていた。
また、昨年に前任の広報委員長とも知己を得た。その方から今年の3月に後任の広報委員長を打診された。なかなかに凄腕のマーケターで、彼の仕事をひきついでどこまでできるかわからなかった。担当はディレクションのみ、手を動かすのは別の方にやっていただく、などの防御ラインをひいたが、WBAIの運営委員会で問題意識を聞いていたので、その問題意識を出発点にマーケティング戦略を書き下ろした。
広報委員長としてプレスの方々に全脳アーキテクチャ・シンポジウムへ来ていただけるようにローラー作戦を実行した。対象となるメディアをリストアップし、取材していただく依頼をした。1ヶ月前、2週間前、1週間前と問合せメールやフォームで情報を送った。途中で反応率をあげるために依頼文の改善もおこなった。コピーライティングの視点から考えると、読者であるメディアの視点に立てていなかったためだった。結果は5社にお越しいただき、そのうち3社に記事にしていただいた。
こう書くとすごそうに見える。しかしながら、課題があるところはニーズがあるところに等しく、WBAIの課題に自らができることを提供しただけである。
WBAIではまだまだ課題がたくさんある。その中にはあなたにできることがあるだろう。まずは第一歩を踏み出すこと。小さな勇気は、あなたの新たなキャリアの、実験と実践の始まりである。
WBAIはあなたの参加を待っている。私もあなたと仕事をする日を楽しみにしている。