AGIの実現を目指す全脳アーキテクチャ・アプローチは、現在、メゾスコピックレベルの神経科学知見に基づいてソフトウエア仕様書となるとなる脳参照アーキテクチャ(BRA)を設計し、それに基づいて実装を行うBRA駆動開発として進められています。
第1部では、最近の当法人の様々な活動状況を述べたあとに、BRA駆動開発の技術的な進展状況を概説する。そのうえで、その開発方法に従った開発ロードマップについて紹介します。さらに、脳を参照するとしても、倫理的な面から見てあえてヒトに似せないほうが良いと考えられる部分などについてお話しいただきました。
第2部では、WBAの技術的発展に貢献のあるかたを表彰する奨励賞、当法人の活動に貢献のあった方を表彰する功労賞の授賞式を執り行いました。
第3部では、栗原聡氏(慶應義塾大学)のオーガナイズにより、パネル討論「私たちはいかに上手にAIの手のひらに着地できるのか」を行いました。
パネリストとして、稲見昌彦教授 (東京大学 )、大屋雄裕教授 (慶應義塾大学)をお招きし、自律性や倫理性の面でヒトを凌駕した高度なAIがヒトとヒトの間に入り込んだ状況を前提として未来社会についての議論を行いました。そこでは、攻撃的現実主義から抜け出せない私たちの社会において、いかにして平和を維持し、人々にとって幸福な状況を持続してゆくかが主要なテーマのひとつとなります。
現在 YouTube にて録画を無料配信中!
テーマ「人と共存する脳型AIを目指して」
シンポジウム開催詳細
- 日 時:2021年9月10日(金) 13:00~17:00
- 会 場:オンライン Zoom
- 参加費:無料
- 参加者:約170名(うち学生約27名)
- 主 催:NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
- 後 援:脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理
講演スケジュール
時間 | 内容 | 講演者 |
---|---|---|
13:00 | 開場 | |
13:05 | ご案内 | 大森隆司(玉川大学/日本大学) |
13:10 | 開会の挨拶 | 大森隆司 |
13:15 | 第1部 活動状況報告 | 荒川直哉(WBAI) |
13:35 | 第1部 基調講演 | 山川宏(東京大学/WBAI) |
14:35 | 第2部 表彰式 | 奨励賞/功労賞受賞者(3名) |
14:50 | 休憩(10分) | |
15:00 | 第3部 議論の前提 | 栗原聡 (共生知能創発社会研究センター/慶應義塾大学 ) |
15:15 | 第3部 人の手のひら、AIの手のひら | 稲見昌彦 (東京大学) |
15:30 | 第3部 人間は動物を必要とするが、AIは人間を必要とするか? | 大屋雄裕 (慶應義塾大学) |
15:45 | 第3部 パネルディスカッション | オーガナイザ:栗原聡 パネリスト:稲見昌彦、大屋雄裕、高橋恒一(理化学研究所) 、山川宏 |
16:52 | Closing Remark | 孫 暁白(実行委員長) |
16:55 | 閉会の挨拶 | 高橋恒一 |
17:00 | 修了 | |
17:10 | 懇親会 | オンライン |
第1部: WBAIの活動状況
活動状況報告[スライド]
講演者:荒川直哉(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
概要:前回シンポジウム以降の当法人の活動(特に現在進行中の第5回WBAハッカソン)について報告しました。
基調講演:脳参照アーキテクチャ駆動開発からのAGI構築ロードマップ[スライド]
講演者:山川宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
概要:当法人では、汎用的な知能を持つ高度なAIの開発を加速するために、脳参照アーキテクチャ(BRA)を用いて設計空間を現実的なレベルに制約する、BRA駆動開発を推進しています。
本講演では、まずこの開発手法の概要とその進展状況について述べます。次に、この開発手法が他の汎用AI開発手法に比べてどのような利点があるかを説明します。さらに、このアプローチを進めた場合に想定される開発ロードマップを概観します。このようにして作られた高度なAIにおいても、ある側面においては生物学的制約に捕らわれない倫理性をもたせることで、それらで構成される社会の持続可能性を高めうることを論じます。
第2部: 授賞式
WBAI奨励賞2021
布川絢子氏
受賞理由:脳の解剖学的構造に整合するように計算機能を割り当てて、脳の参照アーキテクチャ(BRA)を構築する研究を最初に主導的に実践。その内嗅覚野の経路統合機能への適用結果を国際誌に発表。また、このBRA構築法をSCID法として定式化することにも携わる。これらを通して、脳の様々な領域に対して脳型人工知能の仕様設計を可能とした多大な貢献を評価。
WBAI活動功労賞2021
坂井尚之氏
受賞理由:主にイベント時などにおけるプレスリリースなどを含むメディア対応、ホームページの改良デザインの作成、個人寄付などを含む広報/マーケッティング計画の策定に加え、賛助会員向けの定期的な報告を行うことで、その維持に努めるなどの多大な貢献を評価。
上野聡氏
受賞理由:WBA勉強会実行委員会(旧称:サポーターズ)創設時における初代の主たる統括者として運営体制を強化するための規程の制定を行い、さらに勉強会の実行委員長としての活躍など多大な貢献を評価。
第3部: 私たちは、いかに上手にAIの手のひらに着地できるのか?
Humanity X.0 共生創発と情報の身体性[スライド]
講演者:栗原聡 (共生知能創発社会研究センター | 慶應義塾大学)
概要:人とAIとの共生社会の実現を目指し、社会を視点とするSocietyX.0から人を起点とするHumanityX.0へ。
人の手のひら、AIの手のひら[スライド]
講演者:稲見昌彦 (東京大学)
概要:不寛容な社会とAIが作る寛容な社会
人間は動物を必要とするが、AIは人間を必要とするか?[スライド]
講演者:大屋雄裕 (慶應義塾大学)
概要:AIに緩やかに制御される社会
運営スタッフ
- プログラム委員長: 山川宏
- 実行委員長:孫暁白
- 司会:大森隆司
- 広報:荒川直哉
- Connpass:藤井烈尚、西村由弥子
- Slack運用:藤井烈尚
- Zoomホスト:生島高裕
- Zoom共同ホスト:福沢 栄治、西村由弥子
- グラフィックデザイン:藤井烈尚
メディア・パートナーのビジネス+IT 様にシンポジウムを取材・掲載頂きました!