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テーマ「汎用ロボティクスと脳型知能」
AGIの実現を目指す全脳アーキテクチャ・アプローチは、現在、メゾスコピックレベルの神経科学知見に基づいてソフトウエア仕様情報となるとなる脳参照アーキテクチャ(BRA)を設計し、それに基づいて実装を行うBRA駆動開発を促進しています。本年も、当法人の活動を紹介しつつ、重要と思われるテーマについて広くご紹介する場としてシンポジウムを開催させていただきます。
第1部では、最近の当法人の様々な活動状況を述べたあとに、BRA駆動開発によって汎用人工知能が実現する理由や、その開発が終盤において加速する可能性などについてお話します。
第2部では、WBAの技術的発展に貢献のあるかたを表彰する奨励賞、当法人の活動に貢献のあったかたを表彰する功労賞の授賞式を執り行います。
第3部では、パネリストに尾形哲也(早稲田大)氏、谷口忠大(立命館大)氏をお招きし、松嶋達也(東大)氏、山川宏のオーガナイズにより「脳を参照するロボティクス」をテーマとしたパネル討論を行います。
[関連書籍情報]
WBAの内容を含む書籍「認知科学講座4 心をとらえるフレームワークの展開」が2022年09月16日発売されました。
主要目次は以下のようになっています。
序 第三世代の認知科学の可能性(横澤一彦)
第1章 統合的認知(横澤一彦)
第2章 プロジェクション科学(鈴木宏昭)
第3章 内受容感覚の予測的処理(大平英樹)
第4章 自由エネルギー原理
第5章 圏論による認知の理解(布山美慕・西郷甲矢人)
第6章 記号創発ロボティクス(谷口忠大)
第7章 全脳アーキテクチャ ──機能を理解しながら脳型AIを設計・開発する(山川 宏)
シンポジウム開催詳細
- 日 時:2022年10月12日(水) 13:15~17:20
- 会 場:オンライン Zoom
- 参加費:無料
- 参加者:178名
- 主 催:NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
- 協 力:AIアート集団「波羅密多」(源光士郎 増山麗奈)
- 後 援:文部科学省 学術変革領域研究 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学
講演スケジュール
時間 | 内容 | 講演者 |
---|---|---|
13:10 | 開場 | |
13:15 | ご案内(資料) | 大森隆司(玉川大学) |
13:20 | 開会の挨拶 | 大森隆司(玉川大学) |
13:25 | 第1部 活動状況報告 | 荒川直哉(WBAI) |
13:45 | 第1部 基調講演 | 山川宏(東京大学/WBAI) |
14:45 | 第2部 表彰式 | 奨励賞/功労賞受賞者(3名) |
15:00 | 休憩(10分) | |
15:10 | 第3部 趣旨説明 | 山川宏(東京大学/WBAI) |
15:15 | 第3部 全脳確率的生成モデル(WB-PGM) | 谷口忠大 (立命館大学) |
15:50 | 第3部 予測符号化モデルとしての深層予測学習とロボット知能化 | 尾形哲也 (早稲田大学) |
16:25 | 第3部 自己紹介と論点の提示 | 松嶋達也 (東京大学) |
16:40 | 第3部 パネルディスカッション | コオーガナイザ:松嶋達也、山川宏 パネリスト:谷口忠大、尾形哲也 |
17:10 | Closing Remark(お知らせ) | 西村由弥子(実行委員長) |
17:15 | 閉会の挨拶 | 山川宏 |
17:20 | 修了 |
※講演者紹介文へのリンクおよび講演スライドへのリンクは以下をご覧ください
第1部: WBAIの活動状況
活動状況報告[スライド]
講演者:荒川直哉(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
概要:前回シンポジウム以降の当法人の活動
基調講演:WBAアプローチからAGIが構築可能という論理[スライド]
講演者:山川宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
概要: 昨今の深層学習技術は、その大規模化により言語処理を中心に実用化が進み、汎用人工知能(AGI)研究は第3の波を迎えつつあります。とはいえ、この技術の延長線上で人間レベルのAGIに到達できるかは、いまだ明らかではありません。そこで、私たちWBAIは、「脳全体のアーキテクチャに学び人間のようなAGIを創る(工学)」というWBAアプローチを推進します。そして脳型AGIの開発基盤を社会に提供することで、そうしたAGI開発の民主化を推進します。それが私たちの目指す、「人類と調和する人工知能のある世界」というビジョンにつながると考えます。私たちは、WBAアプローチを具現化する方法論として、脳参照アーキテクチャ(BRA)駆動開発を発展させてきました。脳をリバースエンジニアリングすることで、脳型ソフトウェアの仕様情報としてBRAを抽出し、BRAに基づいた実装を行うというものです。すでにメゾスコピックレベルの解剖学的構造データ(BIF)の記述方法を標準化し、現在、その蓄積に取り組んでいます。また、BIFと整合性のあるコンポーネント図(HCD)を共同開発するための枠組みの整備を進め、試し始めています。さらに今後にむけて、脳の各器官で作成したHCDを統合して、脳全体のBRAを構築するための検討をはじめています。このように脳型ソフトウェアを構築する技術を着実に蓄積することで2030年頃までには、何らかの形で全脳アーキテクチャシステムを実現できるでしょう。
第2部: 授賞式
WBAI功労賞2022
受賞者:藤井 烈尚(全脳アーキテクチャ実行委員会)
授賞理由:全脳アーキテクチャ勉強会実行委員会の統括者(2021年)として、シンポジウム・勉強会などの様々なイベントの運営の円滑な実施と、それらイベントに係るグラフィックデザイン、アニュアルレポートの表紙デザインなどにおいて多大な貢献をした。
受賞者: 森川 幸治(元監事)
授賞理由:当法人の監事(2018-2019年度)として、保有財産及び理事の業務執行状況の監査を担当した。また、賛助会員の勧誘や、イベント会場の確保においても多大な貢献をした。
WBAI技術奨励賞2022
受賞者:太田 宏之(防衛医科大学校)
授賞理由:大脳基底核における報酬予測誤差の正負に対する学習割合が動物実験で異なること、および、それが報酬疎な環境での報酬獲得に有効であることを計算機シミュレーションで示した結果を国際誌で発表した。また、当法人主催の勉強会において、脳における強化学習について講演を行ない、脳型人工知能における意思決定機構の構築に貢献した。
第3部: 脳を参照するロボティクス
パネル討論趣旨説明
講演者:山川宏(WBAI)
概要:今後、BRA駆動開発が進み、その実装の段階になると、脳のように認知や行動を行うAIを構築できるようになる。そうした状況を想定して、以下のような観点から議論を行いたい。
- 脳を参照する意義(実用上の意義も含めて)
- 実装するための技術
- AIロボティクスが人レベルに至るのに足りないことは?
全脳確率的生成モデル(WB-PGM): 世界モデルと推論に基づく汎用人工知能に向けて[スライド]
講演者:谷口忠大 (立命館大学)
概要:人間は予測を通して世界をモデル化し、予測を通して行動を生み出す。近年、人工知能分野において深層生成モデルに基づく世界モデルが注目されているが、それは講演者らが記号創発ロボティクスの研究で行ってきた確率的生成モデルに基づくマルチモーダルな認知システム構築と連続的である。 本講演ではこの考え方に基づきつつ、全脳アーキテクチャ・アプローチとの共創的な研究推進方法として提案した全脳確率的生成モデル(WB-PGM)のアプローチに関して背景と概要を紹介する。
予測符号化モデルとしての深層予測学習とロボット知能化[スライド]
講演者:尾形哲也 (早稲田大学)
概要:機械学習では大量のデータを学習から最適モデルの作成を目的とする。しかし、開かれている実世界において、”最適”なポリシーを獲得することは不可能である。この問題に対照するため我々は「深層予測学習」を提案している。これは実ロボット内の予測モデルが感覚運動の経験を内包し、現実の感覚運動を引き込むことでその予測誤差を最小化する枠組みである。本講演では、この深層予測学習を用いたロボット研究の成果を紹介する。
自己紹介と論点の提示:スケーラブルなロボット学習システムに向けて[スライド]
講演者:松嶋達也 (東京大学)
概要:DNNを用いたロボット学習アルゴリズムを用いて、動画のような高次元の入力からロボットの制御方策を学習することが可能になった。これらの手法はサービスロボット領域での応用が期待されているが、タスクや環境の多様性への対処が課題となっている。本講演では、強化学習のようなロボットの制御方策を直接学習する手法において、ロボットシステムから収集し蓄積した「オフライン」のデータを活用する方法について紹介するほか、実際に家庭内のサービスロボットシステム構築の事例紹介を通じて、実世界のロボットシステムの特徴やデータドリブンな手法を取り入れて汎化性・柔軟性を高めるための方法に関して解説する。
パネル討論
コオーガナイザー:松嶋達也、山川宏
パネリスト:谷口忠大、尾形哲也
運営スタッフ
- プログラム委員長: 山川宏
- 実行委員長:西村由弥子
- 司会:大森隆司
- 広報:荒川直哉
- Connpass:生島高裕
- Slack運用:土肥栄祐
- Zoomホスト:生島高裕