Image Credit Squidoodle
私たちWBAIは、2019年内に実施される、動物の知能を再現しようとするコンテスト「Animal-AI Olympics」(Leverhulme Centre for the Future of Intelligence 主催)を後援します。そして脳を参考にするという観点から、生物学的妥当性が高い応募システムを選定し NeurIPS 2019 内での授賞式にてWBA賞を授与します。
現在の人工知能は、動物のように自然界のなかで生存するため必要な汎用的な知性を備えていません。ですから動物の知能を工学的に実現することは、より汎用性の高い人工知能にむけて技術を進展させるでしょう。
一方で、現存する汎用知能は脳だけであること等の理由から、ヒトを含む動物の脳を参考にした汎用人工知能(AGI)の研究開発が有効です [Hassabis, D., et al., 2017]。なおかつAGIの未来社会への影響の甚大さを踏まえれば、国際的な技術交流の進展は望ましいでしょう。こうした背景から脳型AGIの民主的な開発を促進する組織であるNPO法人WBAIは、本コンテストを全力で後援します。
汎用人工知能研究にご興味のある皆様には、是非とも「Animal-AI Olympics」のページを確認の上でエントリーいただき、さらに脳のようなAIを評価するWBA賞にも応募いただければと思います。
WBA賞の詳細については下記をご覧ください。
記
Animal-AI Olympicsの日程
※最新情報は主催者のページを参照ください。
- 4月30日: ‘Environment 0.1’ release ✔
- 7月1日: コンペ仕様フルリリース✔
- 7月8日: オンライン提出開始✔
- 8月14日: 説明会(Kick-off meetup)登録〆切
- 8月21日: 説明会(Kick-off meetup)当日
- 11月1日: 最終提出〆切
- 12月: NeurIPS 2019 にて授賞式
日本国内では8月21日および10月に説明会など関連のイベントを予定しております。
WBA 賞
Whole Brain Architecture 賞は、最も生物学的妥当性が高いシステムに授与されます。副賞はUS$4,000で、授与式に出席する受賞者にはさらに主催者から旅費補助US$1,000が提供されます)。
エントリーにあたっての提出物について
WBA賞の応募者はサマリーおよびソースコードを提供する必要があります(こちらの EasyChair のページから応募ください)。
サマリー
冒頭にチーム名と提出日を記してください。内容は、英文1000〜1500語で提出した成果物や方法論がどのように生物学的妥当性をもつかを説明してください。より具体的には:
- 脳のアーキテクチャとの間に構造的な対応があれば書いてください。
(ブロック図があればサマリーに含めてください。) - 脳に見られるのと同様のメカニズムが使われていれば書いてください。
- モデル化にあたって特定の動物種を想定していれば書いてください。
- アプローチが生物学的知性の理解へどのように貢献するか説明してください。
- その他、生物学的妥当性を高めていると主張できる点を説明してください。
ソースコード
可読性の高いソースコードを評価します。
審査方法
審査は主催者とは独立の審査委員会によって行われます。
審査にあたって、汎用性がコンテストの成績を参照することにより評価されます。生物学的妥当性は上記のサマリーとソースコードから判定されます。さらにソースコードの単純さが評価されます(cf. GPS基準 )。
参考文献
生物学妥当性についての参考文献です。
- O’Reilly, et al. (2016) Computational Cognitive Neuroscience
- Kriegeskorte, N. & Douglas, P.K. (2018) Cognitive computational neuroscience. Nature Neuroscience, 21, 1148–1160.
- Hassabis, D., et al. (2017) Neuroscience-Inspired Artificial Intelligence. Neuron, 95(2), 245-258.
- WBAI: 全脳アーキテクチャ・アプローチにより人間のような汎用人工知能を実現する見通し
- WBAI Wiki
- 五木田和也 (2016) 『コンピューターで「脳」がつくれるか』, 技術評論社
- 高橋宏知 (2016) 『メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする』, 日刊工業新聞社
- 高橋宏知 (2016) 『続 メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする』, 日刊工業新聞社