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第2回 全脳アーキテクチャシンポジウムを開催しました part3

【第三部:次第に汎用化するAIが社会にもたらすもの】
 
「AGIを人類と調和させるためにWBAIができること」(山川宏)

概要:
世界においては2015年に多くのAGI開発組織が立ち上がった、その後もこうした組織は増加しているであろう。そしてAGIの開発が為された時のインパクトは非常に大きい。こうした中で私達WBAIは、「人類と調和する人工知能のある世界」を造り出すことをビジョンとして掲げている。
では一体、WBAIは世界に向けてNPOとして何を為しうるのだろうか。私達WBAIのAGI開発組織としての特徴は、「脳の知見を参考にしていること」「公益目的を担保していること」にある。これらの特徴を活かして、我々はAGIをBeneficial なものに導きたいと考えている。つまり脳に学ぶことで人間と同じように振る舞い思考するAGIをつくりやすくなるだろうし、さらに脳のアーキテクチャ上のオープンな共同作業でAGIを多くの人々の共有物に誘導し民主化を進められる。
とは言え我々が最初にAGIを完成することは難しいかもしれない。しかし社会への影響を考慮しつつ、みなの力で可能な限りキャッチアップして脳に学んだAGI開発を促進してゆけば、僅差で完成できる可能性が高められて、AGIを広め民主化してゆけるだろう。それこそがNPOだからこそ、明示しうる目標である。
最近の活動としては、Future of Life Institute (FLI)が本年初頭において提唱したAI開発の原則案としての「アシロマAI原則」の和訳に協力した。またWBAI自体を認定NPO法人化する準備を進めている。さらに最先端の機械学習研究を効率的に組織としてキャッチアップするためのイベントパスを検討している。
「NPOにおける偉大さとは、組織の内部の運営よりも、組織の外の世界に対していかに働きかけるかに関係が深い」という言葉がある。 私達WBAIは多くの皆様から支援を受けつつも連携や協力を強めながら、十分に偉大なNPOに成長し、それによって、いずれ立ち現れるAGIを人類に調和させることに貢献したい。
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「深層学習の以前・今・これから」(松尾豊)

概要:
深層学習の今後において、深層生成モデルと深層強化学習が重要になってくると、松尾氏は考えている。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の研究は、かなりやり尽くされていると感じている。松尾氏が着目しているのは、RNN(リカレントニューラルネットワーク)系のネットワークだ。
あまり明示的に言われることはないが、RNNは広義の生成モデルと言うことができるのではないか。以前の状態を参照して生成をするという点で、ノイズから生成するVAEやGANと比べてごくごく自然だと感じる。
RNNの発展系としてLSTMやGRUがよく知られているが、リザーバコンピューティングというものもある。「適当に時間遅れを伴ったリザーバ層を作る」という、直観的にうまくいくのか疑問に思ってしまうモデルだが、実際にはうまくいくことが知られている。
松尾氏は、現状のRNNはまだ未発達と感じており、CNNで微分系の進化(最適化の進化)がやり尽くされたように、RNNでもCNNとのインタラクションなどを通して微分系の進化が重要になってくると考えている。もうちょっと統一的で進んだRNNの形、いわば「RNN+」が生まれるだろうという。
深層強化学習については、まだ原始時代で、世界のモデル化がないことが大きな問題。おそらく、RNN+でセンサ系の情報とアクチュエータの系の情報を一緒に扱うことで、大きな進歩が得られると松尾氏は考えている。
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「AGIとマーケティングの未来」坂井尚行

概要:
特化型AIはビジネス応用の面で成果をあげている。一方でAGIはビジョンとしては理解できても、具体的なユースケースがはっきりしていないため、社会的にどのようなインパクトがあるのか、現実感を持って受け止めるのは難しい。
そこで坂井氏は、マーケティングへの応用を例として、AGIのビジネス応用のシミュレーションを考えたいとした。
マーケティングにおけるAGIのビジネス応用は、「仮説生成」がキー・テクノロジーになると坂井氏は考えている。
マーケティングでは課題の発見と解決をするために、仮説を立て、検証する作業が必要となる。その際、あらゆる可能性を試すわけにはいかないので、従来の知識を組み合わせて仮説を作り、検証のための労力を最小限に抑える必要がある。
具体例として、顕在化していないニーズの探索にAGIが使える可能性がある。まだユーザ自身が気付いていないニーズなどを、従来の知識の組み合わせによって推測し、さらにその解決策と実現可能性を評価する。
今回、坂井氏はマーケティングを例にとったが、他の事業や活動でもAGIの応用について検討をして、それを周囲の人たちと議論してほしいと呼び掛けた。それがAGIのある未来を作っていくことになると、坂井氏は考えている。
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「パネル討論2:汎用化が進むAI」(モデレータ:高橋恒一、パネリスト: 松尾豊、坂井尚行、山川宏)

概要:
第二部の三つの講演を受けて、パネル討論が行われました。
討論のお題は、
1. 実用化時期はいつ頃か? どんな(新)産業が起点となるか?
2. どんな産業構造・社会構造の変化を引き起こすか?
3. 「善を為しながら儲ける」には何が必要か?
の3点です。

質問1: 実用化時期はいつ頃か? どんな(新)産業が起点となるか?

山川)どのレベルに到達したAIをAGIと呼ぶかにも依る。ひとつの応用例としては、ビデオゲーム内における人間の代理として使われるのではないか。いずれにしてもパフォーマンスを機械的に評価しやすい分野が先行すると考えられる。
松尾)AGIは、結局は深層学習だと思っているので、あと5年ぐらいのことだと思っている。ネット上の情報を使って簡単な仕事が置き換えられていくので、ホワイトカラーの仕事がどんどん奪われていく。
坂井)ホワイトカラーの中でも、知的単純作業はどんどん置き換わっていくのではないか。妨げる要因として、産業間の相互理解、文化的な部分がハードルになっていくと思う。
山川)高度な自律性がなくても汎用性が高い知的ツールとして人間の仕事と組み合わせられていくケースも考えておくべきだろう。
坂井)実現する汎用性のタスクが何段階かある。人間の高次な知能に関するものになってくると、もっと長いスパンになってくると思う。

質問2: どんな産業構造・社会構造の変化を引き起こすか?

山川)人と機械の作業の分担が変化し続ける。当面の問題は人が担うべき作業範囲の変化のテンポが速まるので、人々がそれにキャッチアップすることが困難化することだろう。
松尾)産業構造・社会構造の変化については、「認識」ができるだけでも大きな違いだ。モノを掴んだり操作したりできるようになれば大きな影響になるし、あまり影響を甘くみないほうが良いとは思っている。もしかしたら、インターネットよりも大きな変化になるかもしれない。
坂井)歴史を振り返ると、古代ではそもそも文字を知っているのは高い階級に限られていたし、その後は本を書写するだけでも価値のある時代があった。AGIの影響で、人の仕事は「目的を設定する」「知識を生み出す」などという上流工程のほうに流れていくのではないか。昔からあった仕事がなくなってしまうのは避けられないが、例えば、蒸気機関が生まれた後に、鉄鋼や通信など新しい産業が生まれており、こうした発展は予想できない。データが取りやすいところに大きな影響があるのでは。
山川)そこは反対の面もあって、データが取りやすいところは、現状のAIで扱えるのでその影響の延長線上にある。むしろAGIは仮説生成能力を利用して未知の状況での問題解決をしてほしい。自分で行動を起こして人類の知識のフロンティアを広げてほしい。

質問3: 「善を為しながら儲ける」には何が必要か?

山川)講演中でも述べたように、NPO法人として私たちは、様々な企業活動がより上手に社会的責任を果たせるように力を貸すべきだ。しかしながら、その具体的な形は未だ模索中だ。
松尾)「儲ける」だけ考えたほうがよく、「儲ける」だけでも相当に難しいと思う。儲けた後で、善を為すことを考えれば良いのでは?
坂井)「儲かる」ということはそれに感謝して対価を支払っているヒトがいるということ。儲けている時点で善を為していると言える。

(以上、敬称略)

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