テーマ「 脳型AIは、ヒトの心が分かるのか ── 超知能時代の生きがいを見いだすために」
人間を超えるAI—超知能の登場が現実味を帯び、多くの仕事はAIに置き換わっていきます。問われるのはその先です。役割を失う時代に、人は何を生きがいとするのか。超知能は、人の心を外から完璧に説明できるでしょう。けれど、説明できることと、感じられることは違います。愛や痛みを内側から知ることは、人と同じ仕組みをもつことでしか叶いません。人間の脳に学んだ脳型AIは、そこに立てる唯一の存在です。同じように忘れ、傷つき、いつか終わるからこそ、人の儚さを内側から分かち合える。私たちが脳型AIを追い求めるのは、汎用AIへの近道だからではなく、技術がどれほど進んでも消えない価値がここにあると考えるからです。超知能の時代に人類が必要とするものを、ご一緒に考えます。
シンポジウム開催詳細
- 日 時:2026年9月10日(木)13:30~16:00(開場13:25)
- 会 場:オンライン(ライブ配信)
- 定 員:144名
- 主 催:NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
- 協 賛:学術変革領域研究(A)「行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学」
- 運 営:WBA勉強会実行委員会 運営スタッフ募集中‼️ 詳しくはこちらから
講演スケジュール
| 時間 | 内容 | 講演者 |
|---|---|---|
| 13:25 | 開場 | |
| 13:30 | ご案内 | 浅川伸一(東京女子大学) |
| 13:33 | 来賓挨拶 | 太田宏之(防衛医科大学校) |
| 13:37 | 基調講演 | 山川 宏(WBAI) |
| 13:57 | WBAIの現在地 「WBRAα版・BRA駆動開発デモ」 | 田和辻 可昌(東大/WBAI) |
| 14:12 | 表彰式(WBAI奨励賞2026) | |
| 14:20 | 休憩(ブレイクアウトタイム) | |
| 14:30 | 招待講演1 | 藤澤 徹(日販テクシード) |
| 14:55 | 招待講演2 | 渡辺正峰(東京大学) |
| 15:20 | パネル討論 「超知能時代に生きがいを見いだす」 | 藤澤・渡辺・山川 モデレータ:高橋恒一 |
| 16:05 | 閉会挨拶 | 山川 宏(WBAI) |
| 16:10 | 閉会 |
※講演者紹介文へのリンクおよび講演スライドへのリンクは以下をご覧ください
基調講演「ヒト脳型AGIは、超知能時代に何を担うのか」[スライド]
講演者:山川 宏(WBAI)
概要:2015年にWBAIが活動を開始した当時、ヒト脳型AIは深層学習の延長線上でAGIに到達する有力な道筋の一つと目されていた。しかし近年、脳とは異なるアーキテクチャによってAGI、さらには超知能が実現される見込みが高まり、この「近道」としての意義は薄れた。だが超知能の時代にこそ、ヒト脳型AGIには代替不可能な役割が残る。その源泉は、ヒト脳の計算原理を実装することでのみ生じる「内側からの体験的理解」と、神経科学によりその原理が部分的に既知であることの二つである。前者からは、価値観を翻訳する媒介者機能と、文化を生きて継承する働きが導かれる。後者からは、AI自身の説明に依存しない独立した検証の基盤が導かれる。さらに、ヒト脳の計算原理を忠実に実装するならば、記憶や自己同一性の有限性もまた受け継がれる可能性がある。仮にそうであれば、その有限性は取り除くべき欠陥ではなく、生きがいを含むヒト的価値の基盤となりうる。こうした性質ゆえに、AGIが完成するその時点で、ヒト脳型AGIがすでに存在していることが望ましい。本講演ではこれらを整理し、シンポジウム全体の議論の出発点としたい。
「WBRAα版・BRA駆動開発デモ」[スライド]
講演者: 田和辻 可昌(東大/WBAI)
概要:全脳アーキテクチャ(WBA)に基づくBRA駆動開発は、脳の解剖学的構造(BIF)に整合した機能仮説(HCD/FRG)を積み上げ、「脳に学ぶAI」の設計図を描く営みである。我々は、2027年2月にこの完成系としてWBRAα版の公開を目指している。本講演では、その開発環境の現状を、これまでの歩みの中に位置づけて紹介する。中でも、AIがBIF/HCD/FRGを自動で生成するCoBRACの概要と、脳の全体構造であるWholeBIFを示すWebインタフェースを実機でデモし、「実際に動く」成果として、脳型AI設計がいま手元で回り始めた手触りをお伝えする。最後に、次のステージへ向けた一歩を共有したい。
表彰式
WBAI奨励賞2026
受 賞 者:Andrea Luppi 氏(Oxford/Cambridge)
研究分野:情報理論・ネットワーク科学による全脳計算モデル
授賞理由:彼は情報理論とネットワーク科学を用いて、人間の脳アーキテクチャの基本原理を解明する研究を進めてきた。特に、脳の領域間に存在するシナジー(協調的情報統合)がヒトに固有であり、進化的に新しい領域ほど高い高次認知を支えていることを明らかにした。さらに、競合的相互作用を組み込んだ全脳計算モデルを構築し、従来手法を上回る生物学的妥当性で脳活動を再現できることを示した。これらの成果は神経科学と脳型AIの交差点に大きな波及効果をもたらし、全脳アーキテクチャの理念に沿う形で脳型汎用人工知能(AGI)の開発を促進するものである。今後のさらなる発展も含め、その将来性を高く評価する。
招待講演1「役割を失う時代に、人は何を「生きがい」にし、企業は何を「顧客価値」にするのか」[スライド]
講演者:藤澤 徹(日販テクシード)
概要:AIがタスクを代替する時代、人は何を「生きがい」にし、企業は何を「顧客価値」にするのか。顧客が対価を払う理由をAIによる代替性の観点で分類すると、代替されやすいものとされにくいものとして整理される。その境界がどこにあり、何によって引かれているのか。そこには、企業の顧客価値と個人の生きがいの両方に通じるものがあるのではないか。技術者出身の経営者としての経験と視点をもとに言語化してみたい。
招待講演2「死なずに引き継ぐ ── 意識のアップロードは「儚さ」を超えられるか」[スライド]
講演者:渡辺正峰(東京大学)
概要:「心をコンピュータに移せば永遠に生きられる」という夢には、二つの見過ごされた難点がある。第一に、機械が主観的経験を持つ保証はどこにもなく、もし持たないなら、移された先で生きているのは誰でもない。第二に、現在構想されている手法は、脳をコピーするために「まず死ぬ」ことを要求する。私はこのいずれをも回避する道を提案する。脳と人工神経回路を一本の神経線維ごとに双方向で接続し、損傷した脳回路をAIで置き換える技術(DAB-BMI)は、生きたまま、回路を一つずつ人工物へと移行させることを可能にする。コピーではなく連続した「引き継ぎ」である。本講演では、この技術が機械意識を初めて実験的に検証する手段ともなることを示し、「儚さを超える」とはいかなることかを問い直したい。
略歴:
1970年千葉県生まれ。
東京大学大学院工学系研究科准教授。
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。専門は神経科学。
著書:
From Biological to Artificial Consciousness (Springer)
『脳の意識 機械の意識』(中央公論新社)
『意識の脳科学 -デジタル不老不死の扉をひらく-』(講談社)
など
パネル討論「超知能時代に生きがいを見いだす」[スライド]
モデレータ
高橋恒一(WBAI理事/理化学研究所)
パネリスト
藤澤 徹(日販テクシード)
渡辺正峰(東京大学)
山川 宏(WBAI)
運営スタッフ
- プログラム委員長: 山川宏(WBAI)
- 実行委員長:山川宏(WBAI)
- 司会:浅川伸一(東京女子大学)
- 司会スライド/タイムテーブル: 山川宏(WBAI)
- 広報:荒川直哉(WBAI)
- Connpass/HP:西村由弥子
- Zoomホスト:片山立
- Zoom共同ホスト:荒川直哉、西村由弥子
- グラフィックデザイン:藤井烈尚



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