全脳アーキテクチャ開発部の活動開始『エンジニアの力でDeep PredNetの実装に成功』

WBAIからのお知らせ
6月27日の第二回SIG-WBAを終えてドワンゴ12Fにて.

はじめに

いま世界では、深層学習や強化学習を発展させる方向から人のような汎用性を持つ人工知能(AGI)の実現を目指す取組が急進展し、つい先ごろOpenAIから4つの技術的ゴールが提案されました。一方で、AGIがあまりにも強力であるが故に、多くのステークホルダーによる技術の共有を望む声も高まっています。日本国内のAI開発は出遅れ気味とはいえ、私達はよりオープンな形で技術開発に貢献し、AGIを民主化することが有意義であること考えています。

こうした背景から、NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)は、10,000人規模による真にオープンな AI開発コミュニティの形成を目指し、コミュニティの皆様と共に人類の福祉に資する動きを作り出すことで、社会に貢献することを目指しています。ここでは、所属組織の垣根を超えて技術者や専門家の力を結集することで、世界に伍するスピード感のあるオープンなAI開発に向けた取組が拡大できると信じています。

これまでの活動

既にNPO法人WBAIも関わるかたちで、人工知能の学習環境シミュレータLIS の開発環境の整備が進んでいます。

また脳型汎用人工知能における新皮質モデルの有力候補(性能/分散処理性/生物学的妥当性の3面から)と成り得るDeep Predictive Coding Networks (Deep PredNet)が5月26日にはARXIV上で報告書公開されましたが実装が未公開でした。この状況で行った超緊急!研究ハッカソンにおいて、一週間後の6月の19日までに桑田純哉氏がDeep PredNetの実装を公開するという快挙を成し遂げました。さらに関連して、ドワンゴ人工知能研究所のインターンとしてご活躍いただいた川﨑邦将さんらを含めて、以下のような成果も公開されています。

オープンなAI開発コミュニティ(SIG-WBA)の発足

こうした背景をうけ、WBAIにおいてはさらに、オープンな AI開発コミュニティによる共同開発を加速してゆくため、LISとPredNetのアクティビティを統合したかたちで、全脳アーキテクチャ開発部およびそのSlackを発足しました。

既に、6月21日(火)に初回のオフ会では様々な議論がなされ、次の6月29日(水)における第二回のオフ会において、以下のような発表がなされました。(※ 最近はビデオ会議によるオフ会参加も試しはじめています。)

6月27日の第二回SIG-WBAを終えてドワンゴ12Fにて。

第二回SIG-WBA(2016年6月29日)を終えてドワンゴ12Fにて。

ご参加の皆様には、貢献者ライセンス同意書(CLA) にご同意頂いております。

今後に向けて

今後さらに、WBAの推進に関わる多くの研究者のみなさまから、WBA研究の推進に関わる重要テーマなど方向性示していただきながら、エンジニアの皆様と共に様々な開発課題に取り組みたいと思っております。

その中には、WBAの推進に関わる次のような多様なテーマが含まれると考えています。

  • LISのような学習環境の整備
  • PredNetのような機械学習装置の開発や評価
  • 面白い環境で楽しい行動を学習するAIエージェントの実験
  • 新しい認知機能を実現するAIエージェントの研究
  • WBAに役立つ神経科学分野のデータ解析およびそのツールの開発
  • その他にも様々なWBA研究の推進に関わる研究開発

こうした活動を通じて、全脳アーキテクチャ(WBA)アプローチからの汎用人工知能の開発を加速できると思っております。さらに、この場自体は、採用活動や営利活動の場ではありませんが、場を通じて共有された知識を所属組織に持ち帰って競争力の源泉にしていただくことも可能になると考えております。

是非とも皆様にも積極的にご参加いただき、皆様の力で閉塞感を打破し、大きな研究開発ムーブメントにしてゆきましょう!!なお現状では、仕事として開発プロジェクト経験のある方が中心の活動となっておりますが、将来的には、ある程度動くものを作った経験のあるITエンジニアまで徐々に裾野を広げてゆきたいと思っております。
いずれにしましてもやる気のある方は大歓迎ですの、参加を希望される方は、「全脳アーキテクチャ開発部(SIG-WBA)」ページよりご連絡いただければと存じます。

NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
代表: 山川宏