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脳参照アーキテクチャ(BRA)データの記述マニュアルおよび具体例の公開

WBAIでは、脳型ソフトウェアの開発手法であるBRA駆動開発をガイドするための標準的な表記法として定義したBRA(Brain Reference Architecture)の記述マニュアルを公開しました。BRAは、脳のメゾスコピックレベルの解剖学的構造に、機能的な仮説や現象を付加した設計データであり、主にソフトウェアの構造仕様を提供するものです[1]。

さらに、BRAデータの具体例もあわせて公開しました。これは、海馬体の神経回路に整合的にナビゲーション機能を記述した論文[2]に関連するBRAデータの審査前バージョンです。(* WBAIによる審査を経て正式版となります .)

  • 海馬体のBRAデータ(審査前版): HPF.bra

BRAデータは、私たちWBAIが推進する全脳アーキテクチャによる汎用人工知能の構築を具現化する「BRA駆動開発」において中心的役割を担っています。近い将来、CUDOS (*1),の精神に沿って脳全体のBRAデータを蓄積することで、脳から着想を得た汎用人工知能のオープンな開発を推進することが可能になるでしょう。これは、私たちのビジョンである 「人類と調和した人工知能のある世界」に貢献するものと考えております。

 (*1) CUDOSとはCommunalism, Universalism, Disinterestedness, Organized Skepticismの頭文字をとったもので、R.K.マートンが提唱した科学界のエートスです。

参考文献

  • [1] Yamakawa, H. (2021). The whole brain architecture approach: Accelerating the development of artificial general intelligence by referring to the brain. Neural Networks: The Official Journal of the International Neural Network Society. https://doi.org/10.1016/j.neunet.2021.09.004
  • [2] Taniguchi, A., Fukawa, A., & Yamakawa, H. (2021). Hippocampal formation-inspired probabilistic generative model. In arXiv [cs.AI]. arXiv. http://arxiv.org/abs/2103.07356